2026年のワインエキスパート二次試験。
私は試験のワインの香りや味わいを、以前に飲んだお酒の記憶と重ねながら判断していました。
強い確信を持ったものもあれば、外観と香りの印象が合わず、グラスを見直したものもあります。
この記事では、5種類のお酒を通して、私が何を感じ、何を根拠に考え、どこで迷ったのかを振り返ります。
見出しの品種・酒類名と生産国は、ワインブックススクールとWine Flightの公開情報を参照しています。第三者資料による情報であり、日本ソムリエ協会の公式原典との照合はできていません。確認日は2026年10月18日です。
ここから紹介する感覚や考察は、私自身の体験です。実際に提出した回答や、選択したテイスティングコメントは記載していません。
シャルドネ|直前に飲んだ記憶と、香り・味わいの重なり
出題された1つ目のワインは、アメリカ産のシャルドネです。
このワインでは、試験前日に飲んだワインの記憶が強く働きました。樽熟成の香りと味わいが、前日に感じたものとまったく同じだと思ったのです。
少し似ている、という程度ではありません。香りだけでなく、口に含んだときの感覚も重なっていました。そこには、はっきりとした確信がありました。
この経験で印象に残っているのは、確信の強さだけではありません。その根拠が、直前の飲酒経験にはっきり結び付いていたことです。
ゲヴュルツトラミネール|香りの記憶と、産地知識の偏り
出題された2つ目のワインは、フランス産のゲヴュルツトラミネールです。
このワインにも、鮮明に重なる記憶がありました。試験の2日前、レストランで飲んだワインです。
香りと味わいが同じだと感じ、ここでも強い確信を持ちました。直前に飲んだ経験が、目の前のワインを考える手がかりになっていました。
一方、生産国については、知識の幅が足りていませんでした。当時の私は、この品種の生産国を【ドイツ】のたった一つしか知りませんでした。
直前に飲んだワインも、ドイツのものでした。飲酒経験と知っている産地が重なり、ほかの可能性を比較するための知識がなかったのです。
香りや味わいに覚えがあることと、生産国を考えられるだけの知識があることは、別でした。
この一杯から振り返れるのは、飲んだ記憶の強さと、産地に関する知識の狭さです。同じワインについて考えていても、その二つは揃っていませんでした。
ネッビオーロ|淡い外観と、力強い香りの間で感じた違和感
出題された3つ目のワインは、イタリア産のネッビオーロです。当時、私はこの品種を飲んだ経験がありませんでした。
このワインで強く覚えているのは、見た目から想像した印象と、実際に感じた香りが一致しなかったことです。
見た目から想像した軽やかさと、香りの力強さ
外観は淡い赤色でした。その見た目から、私は軽やかなワインを想像していました。
ところが、香りは予想していたよりも力強く感じられました。渋みが強そうだと想像するような、骨格のある香りです。
淡い色から思い描いた軽やかさと、香りから受けた力強い印象。その二つが、自分の中でうまくつながりませんでした。
ここで大きな違和感になったのは、香りの印象です。「渋みが強そう」という感覚も、香りから受け取ったものでした。
これは、淡い色のワインや特定の品種に共通する特徴を述べたものではありません。当時の私が持っていたイメージと、目の前で感じたものとの間に、ずれがあったという話です。
違和感には気づいていました。それでも、その理由を整理し、判断の根拠にできるほどの経験が、私にはありませんでした。
グラスを傾けて見直しても、色の判断に自信が持てなかった
気になった私は、グラスを傾けて、色をもう一度確認しました。
前日には、赤ワインのオレンジがかった色調についても勉強していました。実際に比較してみても、その違いをはっきり捉えられず、本番でも色の判断に自信が持てませんでした。
一度見て終わりにしたわけではありません。見直しても、自分の判断を支えられるほど、明確には見分けられなかったのです。
色調についての言葉を知っていることと、実物で見分けられることは違いました。さらに、その感覚を飲んだ経験のない品種と結び付ける難しさもありました。
香りには違和感があり、外観を確かめ直しても確信は持てない。この迷いには、私の準備不足と、経験してきた品種の偏りが表れていたと感じます。
メルロー|飲み慣れた記憶が生んだ確信と、最も大きかった驚き
出題された4つ目のワインは、日本産のメルローです。
5種類の中で、後から出題情報を知ったとき、最もショックが大きかったのがこのワインでした。試験中には、強い確信があったからです。
教材ではなく、以前に飲んだ記憶が確信の根拠だった
このワインでは、フルーティーで、甘さを思わせる香りを感じました。味わいも含めて、普段から飲んでいたシラーの記憶と重なりました。
確信の根拠は、教材で覚えた特徴ではありません。以前から実際に飲んでいた記憶です。
シラーは個人的に好きで、よく飲んでいました。試験対策で一度だけ触れたものではなく、日頃から親しんでいたものだったのです。
白ワイン2種類では、直前の体験が鮮明な記憶として残っていました。この濃い赤ワインでは、以前からの飲酒経験が、強い自信につながっていました。
好きで飲み慣れていたからこそ、驚きが大きかった
もともと経験が少なく、自信を持てなかったものであれば、判断の難しさにも納得できました。
このワインでは、好きで飲み慣れたシラーだという強い確信がありました。
それだけに、日本産メルローだったと知ったときは、強く驚きました。
当時、日本産メルローを飲んだ経験はありませんでした。
自信のないものに迷うことよりも、自信を持っていたものに驚かされることの方が、私には大きく響きました。5種類の中で最もショックが大きかったです。
ラム|限られた飲酒経験がつくった、お酒のイメージ
その他のお酒はラムが出題されました。
選択肢は【アルマニャック】・【コニャック】・【バーボンウイスキー】・【ラム】でした。
私はアルマニャックを選択しました。
私が飲んだことのあるラムは、親戚にもらった透明なものだけでした。その経験から、私の中では「ラムは透明なお酒」というイメージができていました。
振り返ると、問題は単に経験が少なかったことだけではありません。自分が知っている見た目を、その酒類全体に当てはめていたことです。
「ラムを飲んだことがある」という言葉だけでは、その経験の範囲までは分かりません。私が知っていたのは、ラムの中の、透明な一つのお酒でした。
この一杯は、自分の知っているものを基準にするとき、その範囲の狭さにも気づく必要があると感じた経験でした。
5種類を振り返って気づいた、私の判断の偏り
5種類を通して、私の判断には、実際に飲んだ記憶が大きく関わっていました。
シャルドネとゲヴュルツトラミネールでは、直前の香りと味わいが鮮明に残っていました。一方、香りに覚えがあっても、産地について広く考えられるだけの知識があるとは限りませんでした。
ネッビオーロでは、外観と香りの不一致に気づいていました。それでも、見直した色を判断の根拠にできず、飲んだ経験のない品種と感覚を結び付けることに迷いました。
メルローでは、好きで飲み慣れたワインの記憶が、強い確信を支えていました。ラムでは、一つのお酒の経験が、その酒類全体のイメージになっていました。
経験は手がかりになります。その一方で、私の場合は、経験した範囲に考え方が引っ張られる場面もありました。
何を飲んだことがあり、何を知らず、どの記憶を頼りに確信を持ったのか。今回の5種類を振り返って見えてきたのは、知識の量だけでなく、自分の経験の中身と偏りでした。
私にとってこの二次試験は、ワインやお酒の特徴だけでなく、自分が何を頼りに判断しているのかを知る経験になりました。

